お金をかけずに、出張旅費の精算手続を自動化する方法

出張旅費などの経費精算にも、便利なツールやアプリがたくさんでていますよね。
価格も数百円/月~とお手頃ですし、「少しでも手間を減らしたい」と導入を考える方も多いと思います。

ただ、どれを選べばいいのか分からないほど種類が多いことと、一つ一つは数百円でも、あれもこれも契約していると、バックオフィス関係だけで一人数千円/月のサブスク料金がかかってしまうことが、悩みの種です。

そこで当社では、MicrosoftのPowerPlatform(主にPower AutomateとPower Apps)を活用しています。Microsoft 365 Business Basic~に含まれる機能だけを使えば、月額最低540円/月(税抜き)で、いろいろなことが自動化できます。

「そんなうまい話はないだろ」と思われるかもしれませんが、意外とあります。少しのチャレンジ精神と勉強時間があれば、多くの手間と費用が減らせます。 そこで今回は、当社が行っているPower AutomateとPower Appsによる出張手続の自動化をご紹介します。

メールを送るだけで出張経路・費用・担当者をリスト化

まずはスマホからNAVITIME様で経路を検索し、会社の共通メールに送信します。

NAVITIMEを使うのは、経路結果をOutlookを使ってメールで送信できるからです(スマホ版のみ)。Outlookを使うのは、Microsoft 365のアカウント情報から担当者を読み込むためです。

共通メールにメールが届くと、Power Automateで作っておいたフローが動いて、メール本文から必要な情報を抜き出してくれます。

Power Automateとは

Power Automate は、Microsoftの提供するRPAツールのひとつです。RPAは「Robotic Process Automation」のイニシャルをとったもので、ソフトウェアロボットによる自動化技術です。
例えば、「メールの添付ファイルをフォルダに保存する」、「Excelの表から別のアプリに数値をコピー・ペーストする」などの、単純な繰り返し作業を素早く処理するために利用します。

Power Automate | Microsoft Power Platform

抜き出した情報をSharePointに作っておいた出張旅費集計リストに登録までやってくれます。

そして、出張旅費集計リストに新しい項目が追加されると、またPower Automateのフローが担当者に、Power Appsで作ったアプリから出張理由を入れて出張申請をするように通知してくれます。

このフローは、非エンジニアの私が一人で作りました。見よう見まねでちまちま作ったので、作り方が稚拙できれいではありませんが、ちゃんと動きます。

ここまで、担当者がやったことは「NAVITIMEで経路検索をしてメールで送る」だけです。

アプリから出張理由を入力して申請

担当者にメールとTeamsでこのようなメッセージが届きますので、「出張申請」をタップしてアプリを立ち上げます。移動中にスマホから片手間でできます。

こんな感じにアプリが立ち上がります。ペンのアイコンをタップし、出張理由を入力して申請します。

このアプリも、私がPower Appsで作りました。フローを作るより簡単でした。

Power Appsとは

Power Appsは、Microsoftの提供するビジネスアプリ向けローコード開発ツールです。Excelの関数が分かる程度の知識があれば、簡単にモバイルアプリやWebアプリが開発できます。
「その時、その組織に必要な簡単なアプリ」を短期間で作ることに向いています。

ビジネス アプリ | Microsoft Power Apps

申請すると、所属長のところにメールとTeamsで承認依頼が届きます。ちなみに私は自分で自分の出張を承認していたりしますが、下のデータはダミーです。この日に渋谷支店には行っていません。

承認すると、SharePointリストに承認が記録され、集計対象になります。

自動集計されて支払い用のファイルへ

SharePointリストはExcelとリンクしていて、月毎・担当者毎に自動で集計されます。

さらに、これは支払い用のファイルに自動で反映されるようになっていますので、出張申請と交通費精算はこれで終わりです。

人間がやる作業は↓だけです。

担当者

NAVITIMEで経路検索

STEP
1

検索結果を共通メールに送信

STEP
2

出張理由を入力

STEP
3

所属長

承認(又は否認)

STEP
4

最初にPower AutomateとPower Appsでフローとアプリを作る手間はかかりますが、一度作ってしまえば後は信じられないほど楽々です。

しかもMicrosoft 365のサブスク料金しかかかりません。

業務改善は実はかなり大変です。
起業したら、最初から自動化されたシンプルなバックオフィスを作っておきましょう。

「作りたいけど、やり方が分からない」、「作って欲しい」などございましたら、ぜひご連絡ください。

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投稿者プロフィール

若林凜
若林凜
神奈川県内の地方自治体で
・総務(文書管理、議会対応)
・システム運用(教育、福祉、医療)
・会計(出納、資金管理、下水道企業会計)
・監査(社会福祉法人)
・小規模企業支援、労働行政、起業支援
に携わった後、2020年に業務改善系ITコンサルタントとして起業(神奈川県小規模企業支援強化事業コーディネーター)
現在、株式会社TheFlow代表取締役